【短編集】片想い、余命2日

 可愛らしくラッピングされていることから、手作りであることはわかった。


 だからこそ、洸は受け取るか迷った。


 昔から女の子からプレゼントをもらうことが多かった洸だけど、その中にはおぞましいものま混ざっていた。


 それを受け取って以来、洸は他人の手作りがダメになっていたのだ。


 どんなに優しそうな子でも、本当の姿はわからない。


 ちょっとした人間不信に陥っていた洸は、どうしても手が伸ばせなかった。


「やっぱり、イヤですよね。ごめんなさい」


 すると、亜子はお菓子を下げる。


 その申しわけなさそうな笑顔に、洸は悪いことをした気分になる。


 かといって、受け取る勇気は、まだ出なかった。


「じゃあ、お水とか、買ってきますか? なんて、これも余計なお世話……ですよね」
「……ねえ、君……もしかして、僕のこと知らないの?」


 おそらく、下から見上げる亜子には、洸の顔が見えている。


 でも、亜子は洸の知っている反応をしなかった。


「えっと、ごめんなさい……初対面だと思う、です……」


 亜子の声は小さかった。


 それすらも演技の可能性はあったけど、洸は、この子のことなら信用できるかもしれないと思った。