「いつ面接できますか?」
「いつでも大丈夫です」
「今からとか……?」
「えっ」
目を見開くと目の前の彼女が「店長がぜひ今からとおっしゃられていて……」と続けた。
まばたきを繰り返して「じゃあ、お願いします」と渇いた口を開いた。
心臓がバクバクと激しく動いている。
面接はもちろん人生で初めてだし、内心緊張で吐きそうなくらい。
でも、お金は必要。
そう自分に言い聞かせて「こちらへどうぞ」と案内してくれる彼女の背中について行った。
通されたのは、従業員だけが入れる事務所のような場所。
「あ、君が面接希望の子?」
「はい。大村晴香です」
PCが置かれたデスクの前に座るひとりの男性。
灰色の髪の毛と無精髭。
垂れた目の端にはホクロ。
20代後半から30代前半くらいの見た目をしている。
「僕はこの店の店長の大倉です。よろしくね」
「あ……よろしくお願いします」
事務所の真ん中に置かれたローテーブルとそれを挟むようにソファが置かれている。
ソファに座るように促されて私は「失礼します」と腰をおろした。
「どうしてアルバイトしたいの?」
「……お金が必要で」
言葉を発してから、自分が盛大にやらかしたことを悟った。
なにがなんでも正直に言いすぎてはないか?
もっと他に“お店の雰囲気に惹かれて”とか、“社会勉強のため”とか大義名分はあるだろうに。
自分の愚かさに顔を歪ませる。
「そうだよね。お金は大切だもんね」
けれど店長は私の言葉をすんなりと受け入れた。
そして私の手元を見て「それ履歴書?」と続けた。
私は履歴書を差し出しながて「はい」と頷く。



