そして、朝になる。


そろそろスマホを持たないと。
めんどくさいことになりそうだ。


……と、その時。

ガラガラッ──。

教室の扉が開く音がやけに響いた。
ザワザワしていた教室が静かになって、扉を開けたその人物に誰もが釘づけになる。


「うわ、今日も喧嘩……?」


そして、ヒソヒソと小声たちが繰り出される。
私は一瞬そらしてい視線を、再び教室の扉を開けた“彼“へと戻す。


──御空奏(みそらかなで)。


綺麗な真っ白な肌と、綺麗なアーモンド型の目。
小さな顔に収まった目鼻口はバランスよく配置されている。
身長も高く、肩幅もそれなりにある。
控えめに言って、スタイルが抜群。

その容姿の美しさにそぐわない口元の、傷と痣。
赤黒いその傷は、いつも彼の白い肌を汚している。


自分以外の他人を警戒して、誰にも心を開いていないような、尖った目つき。きっと、本来ならもっと可愛い印象なはずなのに、彼から放たれる雰囲気は……色で言うなら黒とか灰とかとにかく暗い色。


動物で例えるなら狼。


入学当初、彼はその恵まれた容姿で注目を集めていた。
女の子の目が、彼を捉えて離さなかった。
頬をピンク色に染め、瞳を輝かせた。
きっと同性をも魅了していたに違いない。


だがしかし、彼は問題児だったらしい。
次の日、顔面に複数の痣をこさえて登校して来た彼の姿はかなり衝撃的だった。


それからというもの、彼の悪い噂はたちまち広がっていった。
毎日喧嘩三昧。
他校の生徒とトラブルが多い。


そんな彼と仲良くする者は、誰もいなかった。
女の子たちも、容姿にこそ惚れていたけれど、そんな噂が立っている彼に近づこうとは誰もしない。ファンはいるみたいだけれど。