私の母が少しおかしいと気づいたのは、中学一年生の頃だった。
友達と家族の話をしていると、私だけ違うことが多かった。
母から誕生日プレゼントとして可愛い色のリップを買ってもらったとか、日曜日にショッピングに出かけたとか、夏休みには旅行をしたとか。
そのどれもが、私が経験したことのないキラキラした宝物のような話。
ウキウキと話す友達のことを“いいなあ”と最初は羨ましく思ったが、だんだんと疎ましく、笑顔で聞くことが出来なくなっていった。
──どうして私は、彼女たちとは違うのだろう?
その気持ちは、時間が経つにつれて母へと向かった。
“ネグレクト”
当時、その言葉を一生懸命中学校にあるパソコンで調べていた。
「…………」
バタン。オンボロアパートの玄関が閉まる音。
高校までの道のりを“無”で歩く。
入学して三日。まだ友達と呼べる子はいない。
クラスメイトの名前もまだあやふやだ。
他人に興味はないけれど、ひとりぼっちのレッテルを貼られて浮くのもめんどくさい。
手頃な人を見つけて、当たり障りなく仲良くして、波風立てずに卒業できたらそれでいい。
……でも、今一番思っていることは、
生きていることが、一番めんどくさい。



