「はは、可愛いな。子が親の後を追って」

「ね……」

潮入の池に立ち寄った私たちは、しばらく一列に連なったキンクロハジロたちの進行方向を見つめる。

彼らがゆく場所から水面が広がって、キラキラと揺れている。

この三年、こうやって庭園を楽しむ気持ちの余裕というのがなかった。

秋人に再会でき、またこうして二人で思い出の地に訪れることができるなんて、夢を見ている気分だ。

復縁できた私たちに、ふたりきりの時間を与えてくれた父と母には感謝しかない。

あやめは今頃、ふたりにショッピングモールでおもちゃを買ってもらっている頃だろうか。

静かになった私に秋人は目配せすると、そっと背後から腕を回し腰を引き寄せてきた。

急に体温が近くに感じ、頬がじんわりと熱を持つ。

「結愛、すぐそこにベンチがある。少し休もう」