エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

「そうですね……ホールでと言われていますが、いずれキッチンに移動させてもらえたらと思っています」
「働いているスタッフの雰囲気はよかったか?」
「はい! 店長の秋元さんっていう女性がいて――……」

今日お店であった出来事を久斗さんに説明する。
キャラの濃い矢代さんがお玉を握ったまま、バックヤードに乗り込んできた話をすると声を出して笑い始めた。

「楽しそうな職場じゃないか。矢代くんを見てみたいな」
「身長が高くて筋肉がもりもりで、迫力がすごいんです! 私なんてベンチプレスみたいに持ち上げられちゃいそうで」
「はは、そうか。それでシフトはいつからなんだ?」

久斗さんからの質問でハッと我に返る。

いけない。すっかり明日のシフトのことを忘れてたわ……!

早朝七時オープンに合わせてきてほしいと言われているので、起きるのは五時ぐらいだろうか。
今日は早めに眠らなくてはいけない。壁にかかっている壁時計を見たらすでに二十一時を回っていた。

「実は明日の朝からなんです。だからもうそろそろ寝る支度を始めなくちゃ……」

隣にいる久斗さんに礼をし、私はその場に立ち上がった。

「久斗さん、今日もお疲れさまでした。私は今からお風呂に入ってそのまま寝たいと思います」