エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


久斗さんは少し驚いた表情で首を傾げる。

「バイト? なんでまた急にそんなことを?」
「それはっ……」

脳裏に過るのは先日小春さんに言われた言葉だ。
確実にあの出来事がきっかけにはなっているけれど、久斗さんと小春さんは仲がいいし、そのまま伝えるわけにもいかない。

「やっぱり家にひとりでいる時間も長いですし、久斗さんには実家のことすごく助けてもらっているから……私もお家の役に立つようなことをしたいなって前から思っていて」
「なるほど。でもそんなこと気にしなくてもいいんだぞ? 今だって美味しいご飯を作ってくれたり、頑張ってくれているし」
「……っ!」

久斗さんはまっすぐ私を見つめて伝えてくれる。
思えがけない言葉の数々に、じわっと胸が熱くなった。

久斗さん、優しい……。

心のどこかで久斗さんに迷惑をかけているうしろめたさがあったけれど、そんなふうに思ってくれていたなんて……。
すると彼はふっと目を細めた。

「でもたしかに、ひとりの時間が長いのは俺も心配していた。つむぎの気晴らしになるんだったら賛成だ」
「ありがとうございます……! 実はもう勤務先が決まったんです」
「なんだって。俺がいない二日間で仕事まで見つけてきたのか」

驚く久斗さんを申し訳なく思いながらこくこくと頷く。

「そうなんです。羽田空港のmineカフェレストランです」