エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


まただ。また。私の反応の面白がるための、本気じゃない久斗さんのイジワルな冗談。
分かっているのに、いちいち反応してしまう私も私だ。

「なんだか、つむぎは犬みたいだな。ご主人が帰ってきて、嬉しそうに寄ってきてくれるマルチーズみたいな」
「!? 私、奥さんじゃなくてわんちゃんですか? マルチーズちゃんは好きですけど」

奥さん、彼女を通り越して飼い犬なんて……それはさすがに目指してない。
悲しみを隠せないでいると、久斗さんは くるりと振り返る。

「にこにこ笑顔で出迎えてくれる姿が似てる、ってことだよ。癒される」
「えっ?」
「じゃ。着替えたいからお風呂、先に頂こうかな」

久斗さんは二度めは言ってくれず、笑顔を残し洗面所のほうへ消えていってしまう。

「久斗さん、ツンデレなんでしょうか……?」

今まで過ごしてきて、ああやって言ってくれたのは初めてだ。
少しずつだけど、私たち打ち解けてきたんだ。
そう考えたら自然と笑みが零れた。