「黒瀬さん」
彼はまっすぐ私を見つめて、はっきりと言い切る。
ピリッとした空気に、自然と姿勢を正した。
「令嬢が御曹司と結婚するときにはそれなりの理由があるのは察しがつくが、そこまで辛そうだと僕は賛成できない。まだ破棄するチャンスは残っていないのか?」
「……それは、絶対にできません」
自分でも驚くほどはっきりと口にすると、黒瀬さんは口を結んで黙った。
「私ひとりの人生よりも、まだうちのホテルで働いてくれている何百人の従業員の生活が大切です。それに、今まで血がにじむ努力をして会社を大きくしてくれた先祖や父、母の想いを途絶えさせるわけにはいきません」
「つむぎさん」
渉さんのことは正直まだ好きになれていない。
でも私にとってそれが一番大切じゃないことを、今再確認できたのだ。
「ご心配頂き、ありがとうございます。婚約している身で不謹慎ですが、こうやって私の気持ちに寄り添ってくれた方は初めてで嬉しかったです。黒瀬さんは素敵な方ですね」
「……僕は」
「お待たせいたしました」
やってきた店員さんに、黒瀬さんは動きを止める。
三段スタンドの上に、ケーキやゼリーが乗ったアフタヌーンティーと、ホットコーヒーが運ばれてきた。
「わぁ……可愛い!」
彼はまっすぐ私を見つめて、はっきりと言い切る。
ピリッとした空気に、自然と姿勢を正した。
「令嬢が御曹司と結婚するときにはそれなりの理由があるのは察しがつくが、そこまで辛そうだと僕は賛成できない。まだ破棄するチャンスは残っていないのか?」
「……それは、絶対にできません」
自分でも驚くほどはっきりと口にすると、黒瀬さんは口を結んで黙った。
「私ひとりの人生よりも、まだうちのホテルで働いてくれている何百人の従業員の生活が大切です。それに、今まで血がにじむ努力をして会社を大きくしてくれた先祖や父、母の想いを途絶えさせるわけにはいきません」
「つむぎさん」
渉さんのことは正直まだ好きになれていない。
でも私にとってそれが一番大切じゃないことを、今再確認できたのだ。
「ご心配頂き、ありがとうございます。婚約している身で不謹慎ですが、こうやって私の気持ちに寄り添ってくれた方は初めてで嬉しかったです。黒瀬さんは素敵な方ですね」
「……僕は」
「お待たせいたしました」
やってきた店員さんに、黒瀬さんは動きを止める。
三段スタンドの上に、ケーキやゼリーが乗ったアフタヌーンティーと、ホットコーヒーが運ばれてきた。
「わぁ……可愛い!」



