エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


久斗さんが帰ってきた!と、頭は寝ぼけているが条件反射で体が動く。
この部屋は玄関までが長いので、急げば玄関のあたりで出迎えれるだろう。

「久斗さん! お帰りなさい」

小走りしながら玄関に向かう。視線の先に、よく知る彼の姿があった。
フライト直後だからか、髪の毛が綺麗にセットされたままだ。

「!」

靴を脱いで顔を上げた久斗さんは、私の顔を見るなりわずかに目を開く。
どこか驚いているように見えるのは気のせいだろうか。
近くにやってきても、彼は一向に何も私を見つめ続けるだけだ。

「どうしました? 私の顔に何かついてます……?」
「え? ああ、そんなことはない。ただいま、つむぎ」

私の問いかけに彼はいつものように温かく微笑み返してくれる。

久し振りに見ると、よけいに輝いて見える……。

きっと今、私はだらしない顔で笑っているはずだ。

「お風呂とご飯の用意はできてますよ。先、どっちにします?」

意気揚々に尋ねると、彼はクスッと鼻で笑う。

「つむぎを先に食べる選択はないのか?」
「え!?」
「うそだよ」