エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む



応募してから数時間後の十八時。
自宅でひとり夕食を食べ、これからお風呂に浸かろうかと考えていると、突然けたたましくスマホが着信を知らせた。

え? だれだろう、この番号……。

私がやり取りをしているのは久斗さんと父くらいなので、まったく知らない番号からの着信に警戒心を募らせる。
でも引っ越しやホテルに関する話を無視してはいけないので、おそるおそる電話をとった。

「も、もしもし?」
『黒瀬つむぎさんのお電話番号で間違いないですか? mineカフェの採用担当の秋元と申しますが』
「えっ……!? あぁ、えっと。そうです! 黒瀬つむぎです」

想像以上に早い対応に、頭がついていかない。
それに〝黒瀬〟を初めて名乗るので、よけいに緊張する。

続いて秋元さんという女性は、ラフな物言いで質問を重ねた。

『応募ホームの自己アピール欄に【外国語の日常会話可能】って書いてありましたけど、英語ですかね?』
「英語と中国語は日常会話可能です。あとスペイン語も少し……」

私の唯一の特技は、朝宮ホテルの仕事を手伝うために身に着けた、他言語の会話だ。
実際に電話口ではあるが外国人の対応をすべて担っていたし、海外のツアーガイドとも外国語でビジネスメールのやりとりを行っていた。

『なるほど。ちょっと急なんですが、明日の午前中とかに面接に来てもらえると嬉しいんですけど、予定どうですか?』