エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

え?

まわりの話し声に交じって聞こえてきた言葉に、思わず動きを止める。
自分の耳がおかしくなければ、今の声は小春さんのものだったように思うけれど……?

衝撃が大きくその場で固まっていると、小春さんは笑顔で自分の席に座る。

「つむぎさんは短大を卒業してから、ご実家のホテルを手伝われていたんですよね?」
「えっ? ええ……」

小春さんが笑顔で尋ねてきたので、止まっていた時間が再開する。
彼女は今、暴言を言った人物とは考えられないほどにこやかに笑っていた。

私の聞き間違いだわ。

もしかしたら近くのお客さんの話し声を変に捉えれてしまったのかもしれない。
それに引っ越してきたばかりで疲れているのかも……。
と、小春さんと実家のホテルのことを話しながら言い聞かせる。

「……つむぎさんって家族思いなんですね。今だってお兄ちゃんの力も借りながらご実家を支えてるし」