エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

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あの日から一週間後、私は無事に札幌から久斗さんのマンションに引っ越しを済ませ、新しい生活をスタートさせた。
引っ越した当日は久斗さんも休みをとってくれて片づけを手伝ってくれたり、マンションの傍にあるイタリアンで食事をして同居祝いをしてくれた。
そんな幸せな毎日が続けばいいのだけれど、彼はとにかく多忙だ。
スケジュールは事務作業や会議、フライトがそれぞれ月半々ずつ入っているようで――。

「じゃあしばらく家を空けるが、何か困ったことがあればいつでも連絡をしてくれ。急を要する場合は、秘書の青木に連絡するように」
「分かりました。久斗さん、お気をつけて」

早朝六時。白いシャツにテーラードジャケット、ベージュのチノパン姿の久斗さんを玄関の前で見送る。
転居届など役所に行ったりきたりしていたら、いつの間にか同居生活が三日も過ぎていた。
これから久斗さんはフライトの予定があり、ヒューストンに飛ぶ予定だそうだ。
帰宅予定は明後日の夕方とのこと……。
正直この数日は、食事を何度か一緒にとることでき割と顔を合わせられていたので、寂しさは拭えない。

すると突然久斗さんは笑みを浮かべ、ぽんと私の頭に大きな手を乗せた。

「!」
「困ったことがなくても連絡してもいいぞ。そんな顔をするなら」
「そ、そんな顔って……!?」

いったいどんな顔をしていたのだろう。
困惑する私の頬を軽くつねって、彼はそっと指を話す。

「寂しがり屋のつむぎは顔に出てしまうからな。なんでもお見通しだよ」