エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


鋭い双眸が私を捉える。穏やかに揺れているが、探られている気がした。
黒瀬さんは私の表情から何を読み取ろうとしているのだろう。
渉さんと私の関係に疑問を持ったのかしら。
しかし――。
案ずる私とは裏腹に、彼はにっこりと明るく笑いかけてきた。

「つむぎさんは甘いものはお好きですか?」
「え、甘いもの?」
「もし時間とお腹の余裕があれば、アフタヌーンティでも一緒にどうですか?」

思ってもみないお誘いに、驚いて言葉を失う。
出会ったばかりで急展開すぎる。
すると黒瀬さんは「なんだか疲れていそうだったので」と付け足し、手を差し出してきた。
彼なりに、私を元気づけようとしてくれているのだ。
その優しさに、胸がぎゅっと締め付けられた。

「お、お誘いありがとうございます。じゃあ少しだけ」
「それはよかった。ここは足場が悪いので歩きずらいでしょう。僕の手、握っていてください」
「は、はい」

黒瀬さんの手のひらに自分の手を添えると、挨拶したときとは違いそっと優しく包み込まれた。
彼は微笑んで、私の歩幅に合わせるように歩き出す。
伝わってくる体温と香水の香りに頭がぼうっとしてくる。
いや、それだけじゃなくて……。
こんな素敵な男性にエスコートされていることが、夢みたいで頭が追いついていないのかもしれない。
普段は人見知りが激しく、見ず知らずの男性にお誘いされても、きっと私はついていかないだろう。
でも……黒瀬さんにそういった嫌悪感はまったくない。むしろ安心感さえあるのだから、不思議だ。

「――今の旬はメロンみたいですね。こちらのセットなんてどうですか?」