久斗さんからのNG項目はただひとつ。
『仕事のスケジュールに関して口出ししないでほしい』というものだった。
口頭でも説明があったけれど、二足のわらじで家庭を顧みる余裕がない場面が出てくると。食事も付き合いが多く、一緒に食卓を囲むことは基本的に難しいと伝えられた。
それに関しては正直とても寂しく感じてしまったけれど、彼の立場を考えたら当たり前の要望だと思い直す。
それに自分のお願いはすべて叶えてもらっているのに、彼の要望を飲まないわけにはいかない。
「もちろんです。もし早くお仕事から帰れるときがあれば連絡をください。身体のためになるべく手料理を食べてほしいので」
「ありがとう、俺の体を気遣ってくれて」
笑顔で伝えた私に、久斗さんは安心したように優しく微笑みかけてくれた。
そして最後の項目だ。
『洗面所、トイレ、ドレスルーム、キッチン、冷蔵庫、リビングルームは共有で使用する』という内容だ。
レ点をつけかけたそのとき、久斗さんは「待って」と私を制止した。
「夫婦同然の生活をするにあたり、寝室を追加しようか迷ったんだがどうする?」



