エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

ぎこちない私を置いて、久斗さんは普段と変わらない様子で歩き出した。
打ち解けてきたとはいえ私たちの間に、恋人のような砕けた雰囲気はない。
顔合わせのときは当たり前のように『恋人』として接してくれたけれどまだまだ距離がある。

少しずつ、久斗さんと仲良くなれたらいいな。
一緒に暮らしていく間に、彼の口からいろんなことを話してくれるようになれたらうれしい。

それから私は、久斗さんと一緒に彼の自家用車で銀座から品川にあるタワーマンションに移動した。
タワーマンションというもの初めて見たが、あまりの高さに圧倒された。
ホテルさながらの屋内駐車場に車を停め、大理石で磨かれたエントランス部分にやって来ると、落ち着いた雰囲気のコンシェルジュさんが笑顔で出迎えてくれた。
高層階行きのエレベーターで向かったのは、最上階である四十七階だ。この階は、たった二部屋しかないようで、久斗さんはこの階と一階下の四十六階はペントハウスの形になっていると教えてくれた。

「元々、ここは集まりやパーティ、要人の宿泊部屋として父が買っていたんだ。だが今回つむぎと結婚するにあたり、俺が買い取った。もともとは違う階でひとりで住んでいたんだ」