その後、和やかな雰囲気で美味しい食事を楽しみながら三時間ほど親交を深めた。
その間に、久斗さんがJRA航空の経営者の座に就くためパイロットになったことや、久斗さんを産んだお母様が若くして病で命を落としたこと。そして経営が傾いた際に、哲也さんの替わりに、久斗さんが小春さんの父親代わりになっていたことなど……。
とても濃い内容を、久斗さんではなく哲也さんや小春さんの口から初めて聞いたのだ。
もちろん婚約者の私は既に知っているという体で話は進んでいき、なんとか話を合わせ聞いていたが衝撃は計り知れなかった。
久斗さんのことを何ひとつ知らなかったことが、寂しかった。
「今日は色んな話ができてよかったよ。また家にも遊びにきてください」
「ぜひ、よろしくおねがいいたします」
会がお開きになり、哲也さんと小春さんと別れの挨拶を交わす。
久斗さんも私がふたりと打ち解けられたことに、安堵したような笑みを浮かべていた。
すると最後の最後で小春さんは思い出したように、ショルダーバックからスマホを取り出す。
「つむぎさん、よかったら連絡先交換しませんか? 時間が合えばお食事や映画とかお誘いしたいし」
彼女の申し出を喜んで受け入れた私は、スマホのメッセージアプリで小春さんの連絡先を交換した。
家族になる人だけれど、新天地で出来た歳の近い友人が出来たようで嬉しい。
「もしかして今日、つむぎさんはお兄ちゃんのマンションでお泊り?」



