エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

「つむぎ」

通話をしている間に、つむぎは出口から出てきていたみたいだ。

キャリーケースを手に、彼女は俺の前に立つ。
出会ったときの着物を着た彼女の印象が強かったからか、
こうやって地毛であろう薄茶色の髪を下ろし、淡い紫のワンピースを着ているととても幼く見える。

「すまない、俺が出迎える予定だったのに」
「いえ、わざわざ迎えに来てもらったのは私の方ですから」

彼女は固い笑顔で大きな瞳を瞬かせる。
緊張はするか、まだ数回しか会っていないんだし。

「そういえば顔合わせまで時間があるし、行きたい所はあるか?」
「えっ……行きたいところ!? ええと」

俺の急な質問に、土地勘がないつむぎは分かりやすく考え込んだ。
そしてぼそっと「ネズミーランドとかかなぁ……」と言っていたが、さすがにハードスケジュールで笑ってしまう。

「時間が足りないだろうからそれはまた次の機会だな。食事とか買い物とかはどうだろう」