エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


戸惑ってはいるが、迷うことはなかった。
久斗さんをまっすぐ見据えて伝えると、彼は小さく頷いた。

「ではその内容で進める。気が早いが、これから君のお父様にご挨拶をさせてもらうよ」
「は、はい……」

久斗さんはそう言うと、早々にその場から立ち上がる。
彼の後をついていきながら、不安な気持ちで胸がいっぱいになった。
お父様はどんな反応をするだろう、八神net1と親交を深めていたのに……。
私の勝手でメンツがつぶれたりは……。

今頃弱気になっていると、ふと久斗さんはこちらを振り返った。

「そんな不安そうな顔をするな。八神の会社や君の実家のホテルのことは何も考えなくていい。お父様にもそれは伝える。それくらい、俺と俺の会社を信用してくれていい」

「久斗さん……」

すると久斗さんはこちらに向かって腕を伸ばし、大きな手で私の手を握った。

「……っ!?」
「夫婦になるんだ。これくらい、いいだろ?」

久斗さんは軽い口調で、目元を緩める。
私に向ける眼差しが果てしなく優しい。
手を握る強さもそっと包みこむようなもので、安心させようとしてくれているのが手に取るように伝わってきた。

「はっ……はい。大丈夫です! つ、つつ妻になるんですから」