久斗さんは私の言葉にぴくりとも動かず、見つめている。
「私、この二十一年、一度も恋をしたことがなくて……恋がどんなものなのかよく分かっていませんでした。でも、飛行機の事故で自分が死んじゃうんじゃないかって思ったときに『久斗さんにもう一度会いたい』と強く思えて。冗談でも結婚しようと言ってくれたことが嬉しかったんだなって」
一度正直な気持ちを話し始めたら、すらすらと言葉がでてきた。
冷静な表情で聞いていた久斗さんの目が、少しずつ開いてくる。
「だから思いがけず久斗さんと再会できて、この気持ちを伝えたい。好きって伝えられるときに伝えたいと思ったんです。だからあんな大変な状況だったんですけど、告白してしまいました。ごっ、ごめんなさい!」
頭を下げ、ぎゅっと目をつむる。
言った、全部伝えた。
心臓は相変わらず激しく動いていたけれど、胸のつかえがとれたようにすっきりしていた。
男性を好きになったことがなかった私にしたら、大きな前進だ。
あとは、彼に振られることを待つのみ――。
「……君の気持ちはよく分かったよ。結婚しようか、つむぎ」



