エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

離れていこうとする彼を、私はとっさに呼び止めた。

「つむぎ?」

久斗さんの驚いた表情を見て、途端に心臓がバクバクと音を立て始めた。
けれど、このままジッと彼がいなくなってしまうのを眺めているのは嫌だった。
〝この〟勢いがなくならないうちに。
本当の気持ちを素直にいえる〝このとき〟を逃したくない……そんな気持ちだ。

お父様、ごめんなさい。

心の中で謝罪した私は、緊張したままこちらを見下ろす久斗さんの瞳をしっかりと見つめる。

「私、久斗さんに一目惚れしましたっ……この前の結婚の話、まだ有効ですか!?」

雑音の中、不思議とその言葉ははっきりと響き渡った。
それを証明するように、久斗さんに告げた途端、心なしかその場が静まり返ったのだ。

「え?」

久斗さんの呆気にとられた声が次に響く。
それでも私は彼のその揺らいでいる瞳を見つめ続けた。強い意志を持って。

「ど、どういうことだつむぎ?」