エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

知識はほとんどないが、着ている制服も多分パイロットのものだ。
久斗さんが操縦してきた飛行機に、私が偶然乗っていたということなのだろうか。そして事故が起き、助け出されるなんて。
そんな偶然……本当にあるんだ。
一時は死んでしまうかと思っていたのに、生きて久斗さんに再会できた。
その奇跡をようやく実感し、胸が熱くなっていく。

――久斗さんが目の前にいる。

「つむぎ!」

すると大勢の人が待機している中から、父と担架を持った救急隊員が近づいてきた。

「こちらの女性をお願いします。腰が抜けているみたいで」
「かしこまりました」

久斗さんは救急隊員にそう引き継ぐと、私のほうへと顔を傾けた。

「つむぎ、こんなことになって本当に申し訳なかった。後はこちらの救急隊員に任せるよ」

責任を感じた辛そうな表情に、胸がぎゅっと痛くなる。
久斗さんがその場に腰を下ろし、私が彼の背中から離れたタイミングで救急隊員がずらりと周りを囲んだ。

「ひ、久斗さん待って!」