エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

彼の落ち着いた声に、肩の力が抜けた。
目の前に起きている状況を究明したいところだけれど、今は身の安全に集中しようと言い聞かせる。
脱出シューターに久斗さんとやってくると、乗客の脱出の誘導を行っていたCA数人が驚いた顔で私たちを見た。

「キャプテン……!」
「この女性は足に力が抜けて立てないようなんだ。俺が先に下に降りて彼女をサポートするから下りるまでの介添を頼む」
「かしこまりました!」

久斗さんはCAに告げると早々に下へと降りる。
彼に続いて降りると、待ち構えていた久斗さんは私に背中に乗るようにしゃがみ込んだ。

「ここから早く離れなければならないんだ、悪いが背中に乗っていてくれ」
「あ、ありがとうございます」

広い背中に思い切って体を預けると、彼は軽々とその場から立ち上がって歩き出した。
久斗さんの逞しさと冷静さに、どきどきした。
こんな状況なのに、彼にときめくなんて不謹慎だと思う。
けれど私は彼にもう一度会えた喜びを誤魔化すなんて到底できない。

久斗さん……さっきCAさんにキャプテンって言われていたからパイロットなんだよね?