「んっ……」
頭上から女性の声が降ってきて、薄目を開ける。
ぼんやりと靄がかかって見えてきたのは、心配そうな顔でこちらを覗き込むCAさんと、その後ろに立つ父だ。
「つむぎよかった! 早くここから脱出しよう!」
「あれ、助かったの……?」
「ああ、羽田空港に緊急着陸したんだ」
父の安堵の声が聞こえてくるとともに、周りの雑音も耳に入ってきた。
自分が座席に座っており、緊急用の酸素マスクが天井からぶら下がっているのを認識する。
少しずつ記憶が蘇ってきて、次に早く機内から脱出しなければという焦りが募った。
既に機内は人が出払っており、残っているのは父と私とCAだけだ。
「乗客の皆様には脱出シューターを使って順番に非常口から脱出して頂いております。ヒールを脱いで、私について来て下さいますか?」
「はっ……はい!」
CAさんの指示に従い、急いで歩き出す彼らのあとに続こうとするけれど、足に力が入らない。
「どうして?」
どれだけ踏ん張ってもその場から足はビクとも動かない。
父はCAさんの誘導で、既に少し遠い場所にある非常口にいる。その場にひとり取り残され、さらに焦りが募った。
「腰が抜けちゃったんだ……」
飛行機が今どんな状況なのかも、爆発をしてしまう可能性があるのかどうかも分からない。
CAさんが戻ってこずこのままひとりで取り残されてしまうなんてことはあるのだろうか。
不安を抱えながら、もう一度肘掛けを掴んで立ち上がろうとしたそのときだった。
「お客様、大丈夫ですか」
頭上から女性の声が降ってきて、薄目を開ける。
ぼんやりと靄がかかって見えてきたのは、心配そうな顔でこちらを覗き込むCAさんと、その後ろに立つ父だ。
「つむぎよかった! 早くここから脱出しよう!」
「あれ、助かったの……?」
「ああ、羽田空港に緊急着陸したんだ」
父の安堵の声が聞こえてくるとともに、周りの雑音も耳に入ってきた。
自分が座席に座っており、緊急用の酸素マスクが天井からぶら下がっているのを認識する。
少しずつ記憶が蘇ってきて、次に早く機内から脱出しなければという焦りが募った。
既に機内は人が出払っており、残っているのは父と私とCAだけだ。
「乗客の皆様には脱出シューターを使って順番に非常口から脱出して頂いております。ヒールを脱いで、私について来て下さいますか?」
「はっ……はい!」
CAさんの指示に従い、急いで歩き出す彼らのあとに続こうとするけれど、足に力が入らない。
「どうして?」
どれだけ踏ん張ってもその場から足はビクとも動かない。
父はCAさんの誘導で、既に少し遠い場所にある非常口にいる。その場にひとり取り残され、さらに焦りが募った。
「腰が抜けちゃったんだ……」
飛行機が今どんな状況なのかも、爆発をしてしまう可能性があるのかどうかも分からない。
CAさんが戻ってこずこのままひとりで取り残されてしまうなんてことはあるのだろうか。
不安を抱えながら、もう一度肘掛けを掴んで立ち上がろうとしたそのときだった。
「お客様、大丈夫ですか」



