エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

冷静なアナウンスに一瞬気持ちが緩むも、再び機体が激しく揺れ、血の気が引いた。
座席前方からも後方からも悲鳴に似た叫び声が上がっている。

何が起きてるの、怖い。お母様……!

私の人生ここで終わってしまうの?

恐怖で涙がこみ上げてきた。
こんなの生まれて初めてだ。
隣にいる父ではなく亡くなった母のことが脳裏に過るのは、生きるか死ぬか、本気で身の危険を感じているからだろうか。
体を震わせていると、横に座っていた父の手が、肘掛けに乗せていた手をぎゅっと握ってくれた。

「生きて帰れると信じるんだ、つむぎ。母さんが絶対に守ってくれる」
「は、はい」

父の体温に、安堵する。
そうだ、こんなところで死ぬわけにはいかないの。
せっかく、八神net1との契約も済ませホテルの存続も決まったというのに……。
私が渉さんと婚約し、ようやくこれから本格的にホテルの立て直しが始まるのだ。
以前のように繁盛させ老舗ホテルとしての歴史を守る。
そして……北海道で待っている、大勢の従業員の生活を保障しなければならない。
気持ちを強くした直後、再び長い浮遊感が私を襲った。

「きゃあああっ……」