エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

一気に飛行機が下降したのか、体が宙に浮かんだ。
しばしとてつもない恐怖を味わい、次は座席に体を叩きつけられる。
まだまだ安定した飛行はできておらず、機体は上下に激しく動きCAさんも必死で体を通路に屈めている。

]「つむぎっ! 大丈夫か?」
「お父様……! なんとか」

激しい動悸を感じながら、隣から聞こえてきた質問に答えた。
ミニテーブルに置いてあったオレンジジュースは、すでに零れて紙カップは床に落ちていた。
ざっと辺りを見渡し、それはどこの座席にも起きているようだった。

『緊急実態発生、頭を下げて身を低くしてください』

ポーンと音を立てて、物騒で機械的なアナウンスが機内に響いた。

「どういうことよ!?」
「ママ、怖いよぉーー!」

乗客の動揺の声が上がる中、次はCAさんの声で機内アナウンスがかかる。

『只今状況を確認しております。乗客の皆様、ご迷惑をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。落ち着いてご座席のシートベルトをお締めください。頭を下げ、しっかりと座席横に取り付けてある肘掛におつかまり下さい』