その日は雲一つない青空が広がっていた。
渉さんと契約を締結した翌朝、父と一緒に芝浦のホテルで軽い朝食をとり、タクシーで札幌に帰るために羽田空港へと向かう。
朝の八時過ぎに到着し、航空券の発券やチェックインを済まし、カウンターに手荷物を預ける。
売店は閉まっているけれど、既に国内線ターミナルは人が集まり始めており話し声や笑い声なんかも聞こえ活気がある。
そんな周囲とは裏腹に、私はベンチに座って脱力していた。
怒涛の東京旅だったわ……。八神様と契約して、久斗さんに出会って。
正直、渉さんと過ごした時間をほとんど思い出せないくらい、久斗さんとの時間を反芻した。
切ないけれど、何度でも思い出したくなるのだ。
どこにいるか分からないが、彼が同じ東京にいるというだけで嬉しい。
会えないのに、会えるのではないかという期待をほんの少し持っていることはだれにも言えない。
するとそんな私を心配そうにのぞき込んだ父は、鞄から浅草で買った雷おこしを一個私に渡す。
「渉さんと気が合わなかったのか?」



