小春はその数カ月後、仕事を辞め突然姿を消した。
父にも俺にも理由を告げることなくしばらく音信不通で、警察に失踪届を出したりと大騒ぎになったが……。
しかしあるとき俺と父に、小春から夕暮れどきのニューヨークの街並みの写真が送られてきた。
「ごめんなさい」という一言だけが添えられて。
小春なりの元気でやっているというメッセージなのだろう。
自分の手で幸せになろうとしている彼女を、遠くから見守ろうと父と決めた。
きっと彼女なりの幸福をてにしたとき、俺たちの前にもう一度姿を現してくれる――。
そして小春が失踪した同時期に、八神渉が脱税の疑いで逮捕された。
すぐに保釈金を払い釈放されていたが、彼の当時の栄光はすっかり消え失せ、集っていた人々たちはみな、いなくなってしまった。
あんな不幸な場所につむぎがもしいたらと思うと恐ろしい。
彼女とあのタイミングで出会えたことが、本当に幸運だったと思う。
そしてその年の暮れ――。



