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つむぎと身も心も結ばれて数日後。
俺はひとり実家に出向き、小春を呼び出した。
妹はいつもと変わらない、明るい笑顔で俺の前に姿を現す。
しかししっかりと目が合うなり一瞬で怯えたような表情に変わっていった。
「つむぎに危害を加えるようなら、お前とは縁を切る。一生顔を合わせることもないし、連絡もとることもない」
はっきりと言い切ると、小春の大きな目に涙がたまっていく。
「な、何それ……! 私そんなことしていないのに、何かの間違いじゃないの」
「嘘をつくな。つむぎのアルバイト先の人間にも連絡をとって、事実確認もしている。防犯カメラにもお前の姿がしっかり映っていると。つむぎに飲み物までかけたようじゃないか」
「……っ!」
小春は苦虫を潰したような顔をしている。
こんなふうに彼女を醜くしてしまったのは兄である俺なのか?
誰よりも守ってきて、兄としての愛情を与えてきたつもりだったのに。
それはこの子にとって、よくないことだったのだろうか。
「俺は……小春の幸せをずっと願ってきた。お前の悲しみをすべて癒せるわけではないが、兄である俺がなんとかできることはしたいと思っていた」
声を振り絞り、最後の思いの丈を伝える。
小春は俺から目を離し、聞き入れたくない態度をとっている。
「今でもお前を大切に持っているが、これ以上は手に負えない。俺には俺の幸せがある。それはつむぎでないと難しい」



