初めは彼の言っている意味が分からなかったけれど、浴室に入ってすぐに理解した。
身体中を大きな手が隅々まで綺麗にしてくれるのだ。
ぬるついた泡といっしょに肌を優しく撫でたり、時折執拗に攻め立てられたり、感じたことのない甘い感覚に私は絶え間なく喘ぐ。
「ひ、久斗さん私もう……体がおかしいです」
立っていれられず壁に手をついて体をよじると、久斗さんが私を後ろから抱きしめ頬に淡いキスをする。
濡れた彼の毛先から雫が垂れ、シャープな頬を伝ってゆき、その様が色っぽくてさらにぼうっとしてきた。
「俺もおかしくなりそうだ。君が可愛すぎて」
「え……?」
何が可愛いのか分からず久斗さんの瞳を見つめていると、彼の口角が上がった。
「そういうところだよ、つむぎ」
久斗さんはそう言って、浴室の扉を開ける。
彼に体を丁寧にタオルで拭いてもらった後、私たちは真っ裸のまま寝室に移動し、いつも使っているベッドに入った。
同じ部屋なのに、見える景色がまったく違う。
いつもなら彼とわずかな触れ合いを楽しむ温かい部屋という印象が、今日はやけに静寂で神聖な場所に思えた。
「んっ……ふっ……」
久斗さんの逞しい腕の中で唇をまさぐられ、リップ音と吐息が混ざり合って部屋に響く。
柔らかくて厚い胸板に自分の肌が密着し、ふたりでいっしょに熱を上げているようだ。
「君の中に入っていいか? つむぎ」
久斗さんはキスの合間に尋ねてくる。
すでに浴室で体を絆されていた私は、安易に彼の指を受け入れていた。
初めてなのに、まったく痛みを感じない。
「お願いします……久斗さんとひとつになりたい、です」



