背後から聞こえてきたよく知る声にはたと動きを止める。
今の声……。
「久斗さん……」
振り返ると、スーツ姿の彼が私たちを見て困惑した表情を浮かべていた。
久斗さんが今晩帰ってくるのは把握していたけれど、まさか今こんな形で会うなんて思ってもみなかった。
プレゼントを選ぶのに夢中になって、途中からまったくスマホを見ていなかった……。
すると久斗さんはよそゆきの笑みを浮かべ、矢代さんに会釈をする。
「つむぎがいつもお世話になってます。先日はお店に遊びに行かせてもらい、ありがとうございました」
「いえ、そんなことより。つむぎのことちゃんと守ってやってくださいよ」
矢代さんの言葉に、久斗さんはわずかに目を見開く。
笑顔を消し、すぐに険しい表情をした。
「どういうことですか? 貴方は私の妻に気でも?」
久斗さんと矢代さんが戦闘態勢に入る予感がして、大急ぎでふたりの間に割り込む。
「や、やめてください! 久斗さん、矢代さんは全然そういうんじゃないんです。この人は、私じゃなくて私の先輩のことが好きですし!」
「……え?」
緊張で胸が苦しくなりながらも、呆気に取られた久斗さんの瞳を見つめる。
「久斗さんにお話があります」



