矢代さんはそう言い残し、嵐のように消えてしまう。
彼も秋元さんも、とてもいい人だが少々強引なのだ。
こうと決めたら突き進むタイプなのは、この一カ月で十分知っている。
ふたりきりで帰るなんて落ち着かない。何を話したらいいのかしら。
それに、久斗さんは矢代さんに嫉妬していたし、悪いことをしているような気も……。
そんなことを考えていたら、着替えを終えた矢代さんが勢いよく扉を開けた。
「行くぞ、つむぎ」
「は、はいいい……!」
退勤の打刻を押しお店を出て、歩幅が大きい矢代さんを小走りしながら追いかけていく。
「あの女の人、お前の友達か?」
振り返った矢代さんが質問してくるけれど、私は一瞬ためらう。
けれど直接的に矢代さんが小春さんや久斗さんと関わるわけではないので、素直に答えることにした。
「私の義理の妹に当たる方なんです。夫の血が繋がった妹で」
「なんだよそれ、すげぇドロドロしてるな。昼ドラの世界じゃん」
ガハハ、と大口を開けて笑う矢代さんに怒りがこみ上げ、思わず頬を膨らませた。
「全然笑い事じゃないです! 私は仲良くしたかったのに……なんでこんなことになったんだろう」
語尾が小さくなり俯く私を見て、前を歩いていた矢代さんはぴたりと足を止める。
「義理の妹とのこと、旦那に言ったのかよ?」



