エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

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私は平常心を心がけ、お店にやってきた小春さんを席へと案内した。

「つむぎさん、お久しぶりですね。今日はお兄ちゃんと朝宮ホテルのことでお話があってきたんです」
「え……? うちの実家のことですか?」
「ええ」

小春さんはそう言うと、アイスティーを注文する。

「つむぎさんがお仕事終わるまで待ってます。話してくれるまで帰りませんから」
「わ、分かりました」


強硬な姿勢をとる小春さんに押され、頷くしかない。
朝宮ホテルの話? 小春さんが、重要な話を知っているの……?

その後ホールの仕事をしていても、小春さんの動向が気になって落ち着かなかった。

「大丈夫つむぎちゃん? あのお客さんと何かトラブってるの?」
「いえ……そういうわけでは。上がってから少しお店でお話させてもらいます」
「それはいいけど、何かあったらすぐ呼んでね」

秋元さんが気にかけてくれて、少しだけ元気が湧く。
矢代さんも心配してくれているのか、私を気にしてみてくれていた。

大丈夫、お店ならみんながついてるし……。

そう強く言い聞かせ、仕事をこなしてゆく。
小春さんがきて一時間後に就業時間が終わった。
彼女の座っている席にゆき、対面して座る。

「あの? 話ってなんでしょうか」

小春さんは私を冷めた目で見つめながら、口を開いた。

「錆びれた北海道のホテルが、JAR航空と急にタッグを組むことに業界ではおかしいって大騒ぎになっているわよ。しかもあなたとあなたのお父さん、あの乱気流の事故機に搭乗されてたんですってね」