次の瞬間、グイッと腕を引かれる。
呆気に取られている間にすぐ近くにあった壁に押し付けられた。
「っ、久斗さ……ん!」
端整な顔が近づき、深く唇を奪われる。
彼の舌で唇をこじ開けられ、舌が口腔の中で蹂躙した。
「んっ……んっ、はぁ」
角度が変わっても息継ぎの余裕なんてなく、歯列をそのままなぞられ舌先を軽く吸われる。
鼻先が触れ合う距離で彼はため息をつき、熱い眼差しを私に向けた。
苦しそうな彼の表情を見たのが初めてで、激しく動揺してしまう。
「つむぎは警戒心がなさすぎる。男の親切は下心があると思え」
「っ、それは……」
「あいつのことだ」
久斗さんは短く返事をすると、私の腕を引いてまっすぐ隣の寝室の扉を開けた。
心臓の音が鼓膜に響くほど鳴ったまま、ベッドの上に押し倒される。
「ひ、久斗さん……?」
もしかして矢代さんにスイーツを送ることを怒っているのだろうか、と今さらながらに気づく。
私の上に乗った久斗さんは、折角着ていたシャツのボタンを外し、ネクタイを緩めてしまった。



