エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む

自ら女性へ話しかけると、彼女はパーッと目を輝かせた。

「すごく可愛らしい……お目にかかれて光栄です。私、JAR航空のCAです。キャプテンの溺愛している奥様がどんな人なのかどうしても気になってついて来てしまいました」
「俺もひとりだと心細かったから彼女を誘ったんだ」

たしかにこのお店は、フォトジェニックな料理を扱っていることから圧倒的に女性客が多く、男性ひとりだと少し入りずらいかもしれない。
久斗さんは続いて、この女性が自分の後輩にあたる副機長の奥様で、今日偶然シフトが被ったとも教えてくれた。

「キャプテンから惚気話を聞かされるって、旦那がよく言っているものですから」
「あいつ、そんなことを?」
「の、惚気話……?」

さっきから〝溺愛〟だとか〝惚気話〟だとか気になるワードが飛び交って頭がついていかない。
どうやら思っていた以上に、久斗さんは私の存在を職場の方たちに伝えているようだ。
どきどきしながら視線を横に流すと、彼も気まずそうな表情で私を見上げる。

「つむぎ、アイスコーヒーを頼むよ」
「は、はい!」

久斗さんはこの話を切り上げたかったのだろう、突然しれっと伝えてきた。
ふたり分のオーダーを伝票に書き込み、定位置へと戻る。

久斗さん、私に会いにわざわざ来てくれたんだ……。