エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


思い出したように秋元さんが尋ねると、矢代さんは大きな口でお肉を食べながら、目玉焼きを箸でつまむ。

「いや、違うっすよ。明後日っす」
「えっ、そんな近々だっけ? 今年もチョコレートでいいかしら?」
「あ、それがいいすね」

ふたりの会話を聞いていた私は、気になって隣を振り返った。

「もしかして矢代さん、甘党なんですか?」
「まーな」
「やっぱり……!」

キッチンのスタッフさんから廃棄するケーキをもらい、バックヤードでこっそり食べていた姿を何回も見たことがあったからだ。
すると秋元さんはにやにやしながら、矢代さんに向けて指を指す。

「この人、百貨店のお菓子フェアを回りまくって、女子力高めな写真をSNSにあげてたりするんだから。意外でしょ」
「ええ、矢代さんのイメージと真逆!」
「マジで最悪。こいつに変なことばらさないでくださいよ」

秋元さんが「つむぎちゃんには特別カッコつけてるからね」と言ってるのが聞こえてきたけれど、なんと返事をすればいいか分からず苦笑する。

「やたら凝ってる菓子を見てると感心するだろ。それに甘いもの食うとイライラも軽減されるしな」

矢代さんはぶっきらぼうにそう伝えてくれたけれど、要は私と一緒で『可愛くて甘いお菓子が大好物』ということだ。
ならば同士として、お世話されている後輩として、手作りスイーツで彼のお誕生日をお祝いしたいという気持ちになってきた。
しばらく作っていないので多少腕がなまっていないか心配にはなるが、簡単なものなら平気だろう。

どうせならサプライズで渡したいな。矢代さん、喜んでくれるといいけど……!