エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


彼の声が聞こえてきた直後に、長い腕にそっと抱き寄せられ、後ろから包み込まれた。
一瞬落ち着いた心臓が再び忙しなく動き出す。

「ひ、久斗さん……? も、もう寝ますか?」

予想とは違う展開に思わず尋ねると、久斗さんは私の首元で笑った。

「無理にはしたくない。でも、いっしょに眠ることとおやすみのキスは解禁してもいいか?」
「……っ、は、はい」
「ありがとう」

艶のある低音が鼓膜に響き、ぞくぞくと背筋が痺れた。
どこまでも私の気持ちを組んでくれている久斗さんに、きゅんと胸がしめつけられる。
これからいっしょに眠るときは抱きしめられて、さっきのようなキスをするんだ……。
距離が近くて上手く呼吸はできないが、倒れるほどでもない。
私でもなんとか対応可能だ。

「おっ、おやすみなさい……久斗さん」
「おやすみ」

少しだけ自信を持った私は夢に落ちるまで、彼の腕の中で幸せな気持ちに浸っていた――。