エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


「……っ!」

久斗さんの提案にどくんっと大きく心臓が音を立てた。
契約時に、久斗さんは私の気持ちが動いたらいっしょに寝ようと言ってくれていた。
彼が恋愛を一度もしてこなかった私に合わせ、今日まで寝室を別々にして様子を見ていてくれたのだ。
きっとハグだけでは済まない。
とても怖いけれど、嫌ではない。
むしろ、私は久斗さんのことが好きだからキス……はしてみたい。
それ以上のことはあまり考えられないが。

どくどくと激しく心臓が動いたまま、首を縦に振る。
すると久斗さんは私の頭を撫で「じゃあ、先に寝室で待ってるから」と耳元で囁く。
今が〝夫婦〟として進むときなのだ……。


「つむぎ、いらっしゃい」
久斗さんとリビングで分かれた後、お風呂に入りパジャマに着替えた私は枕を持って〝夫婦の寝室〟にやってきた。
掃除のときに見ていた、清潔感溢れる白で統一された寝室は、オレンジの照明のおかげで色っぽいムードたっぷりに様変わりしていた。
がちがちに緊張する私を久斗さんは扉の前で出迎えた後、手を引いてベッドまで連れて行ってくれる。

「先に奥へいってくれるか」
「は、ははははい」

大きなキングサイズのベッドの上を、膝で歩きながらごくりと息を呑んだ。
つ、ついに。今日、私は大人になるのね……。