矢代さんは厳しいが接客もキッチンもこなしながら、私を始めとするスタッフをまとめていて尊敬している。
でも……怒られるたびに落ち込むし、がっかりされると悲しくなる。
耐えていたが、我慢のキャパシティが超えて自然と涙がこぼれてきた。
「久斗さんが帰って来るのに、目が腫れちゃうのはいやだ……」
ひとしきり泣いた後、冷蔵庫に入っていたアイスノンをタオルでくるみ必死で目元に当てる。
久斗さんの前では笑顔でいようとか、料理の品数などを考えていたら意識が朦朧としてきた。
まだ久斗さんが帰ってくるまでに時間があるし、少しお昼寝しようかな……。
このままじゃいつものように元気よく彼を迎えることができない、と言い聞かせ目をつむる。
すぐに意識が途絶え、夢の世界へ誘われた。
んん……早く会いたいです。久斗さん……。
「……疲れてるんだな」
「ん?」
次の瞬間には、はっきりと久斗さんの声が聞こえてきて私はすぐに目が覚めた。
目を見開くと、端正な彼の顔が私を覗き込んでいた。
「ひっ、久斗さん!?」
「すまない、起こすつもりはなかったんだが……ただいま」



