エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


矢代さんに続き、私はテーブルを拭きながら急いで頭を下げた。
無事にテーブルを整えてお客様から離れてすぐ、矢代さんにグイッと腕を引かれる。
「黒瀬、裏に来い」
「はっはいいい……」

すぐにバックヤードに連れてこられた私は、怒りに震えた矢代さんの顔が見ていられず思わず頭を下げた。

「水をこぼしたら落ち着けと何度言ったら分かる? それにテーブルを拭く前に、お客様にかかってないか確認するって教えただろ」
「はい、一昨日教わりました」
「あとサラダの名前、間違えてたぞ。ちゃんと表を見て正確に言えるように練習してこい!」

矢代さんの一文一句を逃さないようにポケットに入れていたメモに大急ぎで記していく。
これもまた、教えられたことは全部メモに書けと矢代さんに教わったからだ。

そう――私の人生初めてのアルバイトは、失敗の連続だ。

「もう矢代くん。つむぎちゃんはまだ入ったばっかりなんだから、もうちょっと優しく教えてあげなさいよ」