エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


小春は幼い頃から俺へ日常的に愛情を伝えてくれた。
その愛らしい姿に、今までどれだけ癒されたことだろう。

JAR航空の跡取りとして多方面から厳しい目を向けられ、さらに冷淡な親戚一同から部外者と毛嫌いされていた小春を守っていくのは大変だった。
でも今では小春が無事に成人し、仕事も私生活も充実している姿を見ると、心底自分が頑張ってきてよかったと思えるのだ。

この気持ちは俺への結婚観に少なからず影響を与えている。
人ひとりを守っていく大変さ厳しさを、幼い頃に疑似体験したからだ。
これまで結婚に対してなかなか踏み込めなかったが、不思議なことにつむぎは俺が守ってやらなくてはと思えた。
もしかしたら初めは、昔の無垢だった小春とつむぎを重ねたのかもしれない。

小春はもう少し、つむぎに対して嫌な顔をするかと思ったが……。

「こうやって写真も撮っているくらいだから、安心だ」

メッセージアプリを開き、小春から一昨日送られてきたつむぎと小春のツーショットを眺める。

今まで小春に女性を紹介したことはなかったので、つむぎに対して嫉妬を抱くのではないかと懸念していたが、まったくそんなことはなく、むしろ友好的に接してくれている。

俺は安心した気持ちで、小春に向けて八神の件でメッセージを打ち始めた――。