エリートパイロットは没落令嬢を惜しみない愛で包む


『ああ、本当に頼むぞ。あの子は私の話は聞かないが、お前の話にはちゃんと耳を傾けるんだから』
「そうだな、安心してくれ。父さん」

父は俺に礼を言って、電話を切った。

ああやって父には言ったが、最近の小春は俺にだってよく分からない。
大きな壁を感じると思えば、近すぎるくらい近くに感じるときもある。
格別に美しく成長したのは分かるが、昔より随分雰囲気が変わった。

そう思うようになったのは、共学の私大に通い始めてからだ。
派手な連中とつるみ始め、家にも中々帰ってこなくなったと当時父は嘆いていた。
しかし俺は遅れてやってきた思春期だと思って、黙って見守るように伝え続けた。

小春がとても窮屈な思いをしてここまでの人生を歩んできたのに違いないから、それくらいは許してやって欲しい。

小春を一番近くで見てきたのは父ではなくこの俺だったから、よりそう強く思ったのだ――。


『久斗くん、この子は今日から妹になる小春ちゃんですよ。仲良くしてあげてくださいね』
『僕の妹……?』