つむぎは逆の左手に視線を送り、薬指にはまっている結婚指輪を見て微笑む。
「……一応、店長さんに確認したら結婚指輪だけは大丈夫だと」
「それならよかった」
指輪をしていたら、ヘタに男は口説いてこないだろう――。
つむぎは深い意味では受け取っていないようだ。俺の真意にはまったく気づいていない。
「あと細かいシフトを立てる前に、俺に相談してくれるか? 休みを合わせてどこかに出かけたいし」
「分かりました! すぐにご相談しますね」
彼女の顔は喜びで満ちていた。
そんな顔をされると、このまま車から降ろさずにどこかに連れ出したい気持ちになってしまうが我慢だ。
助手席から降りたつむぎに手を振りながら、昨晩のような空虚感を僅かだが感じていた。
こんなふうに、今までつむぎといっしょにいて寂しさを感じたことはなかったのに……。



