Cherry Blossoms〜思惑の交差点〜

「早く、帰りたい……」

一花の呟いた言葉は、虚しく消えていった。



一花が閉じ込められている地下の一室を出たイエティは、迷うことなくある場所へと向かう。そこは実験用のフラスコや薬品が大量に書かれた研究室である。ここで、テロに使う爆弾などは製作されているのだ。

「お〜い、フランケンシュタイン。爆弾の準備はできた？」

白衣を羽織った黒髪の男性のコードネームをイエティは言う。フランケンシュタインは振り返った後、「できてる」と暗い顔で呟く。そんなフランケンシュタインにイエティは笑いながら近付き、肩を叩いた。

「相変わらずお前は暗いな〜。もうちょっと明るくなりなよ！あの時の女の子が今ここにいるんだよ？」

その言葉を聞いた刹那、生気を宿していなかったフランケンシュタインの目が驚きで大きく見開かれた。