「なるほど……」

話を聞き終えた安藤警視正は手を顎に当てた後、すぐに桜士と十に言った。

「二人とも、休憩してきなさい。二時間くらいここに帰って来ないでね」

「えっ?」

桜士と十が言葉の意味を理解するよりも前に、体を強く押され、公安部から二人は追い出されていた。



公安部を追い出されてしまった桜士と十は、とりあえず警視庁を出て近くにある公園のベンチに腰掛けた。警視庁の中に休憩を取るための食堂はあるものの、桜士たち公安は人前に出ることはあまり許されないため、食堂を利用することはできないのだ。

「何で俺まで追い出されるんですか……」

ため息を吐きながら頭をガシガシと乱暴にかく十に、桜士は「すまん」と謝った後、自販機で缶コーヒーを二本買って一本を十に渡す。

「これやる。缶コーヒーでちょっと申し訳ないけどな」

「あ、ありがとうございます……」

十は缶コーヒーを受け取るとすぐに蓋を開け、ゆっくりと飲んでいく。桜士も十の隣に座り、缶コーヒーを開けた。ふわりとコーヒーの香りが桜士の鼻腔に入り込む。