(四月一日先生に何かあったら……俺は……!)
たった一人しかいない好きな人を守れないのなら、この己の手は何のためにあるのだろうか?一人の人間を守れない人間が、一億二千万人の人間を守ることができるのだろうか?マイナスな気持ちに心が支配されてしまっている。
「九条さん……」
俯く桜士を見て十が何かを言おうとしたその時、「何の騒ぎかな?」と声が響く。部署に入ってきたのは、桜士たちの上司である安藤(あんどう)警視正だ。
「いえ、何も問題はありません」
桜士はそうすぐに返したものの、十が「問題大ありです!」とすぐに否定する。周りの捜査官たちも、十の言葉に同意して首を縦に振っていた。
「問題は一体どんなものなんだい?」
安藤警視正が十を見つめて訊ね、十が一つずつ説明していく。桜士はそれを否定することはできなかった。否、安藤警視正から「お前は口を挟むな」と言いたげなオーラを感じたため、黙っていることしかできないのだ。
たった一人しかいない好きな人を守れないのなら、この己の手は何のためにあるのだろうか?一人の人間を守れない人間が、一億二千万人の人間を守ることができるのだろうか?マイナスな気持ちに心が支配されてしまっている。
「九条さん……」
俯く桜士を見て十が何かを言おうとしたその時、「何の騒ぎかな?」と声が響く。部署に入ってきたのは、桜士たちの上司である安藤(あんどう)警視正だ。
「いえ、何も問題はありません」
桜士はそうすぐに返したものの、十が「問題大ありです!」とすぐに否定する。周りの捜査官たちも、十の言葉に同意して首を縦に振っていた。
「問題は一体どんなものなんだい?」
安藤警視正が十を見つめて訊ね、十が一つずつ説明していく。桜士はそれを否定することはできなかった。否、安藤警視正から「お前は口を挟むな」と言いたげなオーラを感じたため、黙っていることしかできないのだ。


