少しずつ意識を失う前のことを一花は思い出していき、これからされることを想像して「嫌ッ！誰かッ！」と助けを求めながら拘束から逃れようともがく。しかし、縄はギシギシと音を立てるだけで緩むことはない。

「私、ここで今から……」

恐ろしい未来を想像し、一花の目の前がぼやけていく。こんな状況になるのは実は初めてではない。海外での勤務になった際、危険な過激派組織に捕えられてしまったことも片手で数えるほどだがあった。

体を触られたり、仲間に暴力を振るわれている様子を見せつけられたり、思い出すだけでも一花の体は震えていく。

「本田先生……助けて……」

一花がそう呟いた刹那、パッと部屋の中が一気に明るくなった。そして数人の足跡が近付いてくる。

「あっ、もう目が覚めたんだね〜。おはよう！」

イエティがニコニコと笑いかけながら手を振り、その横でメドゥーサが「ちょっとイエティ！他の女を見ないでよ！」と怒る。その様子を呆れたようにミノタウロスとスキュラが見つめ、一花を眠らせたキョンシーが言った。