極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「もう宗大! 結衣の恋路を邪魔しないであげて!」

「母さんまでっ……! いいのかよ、結衣が親離れしても!」

「お母さんは結衣の交友関係に口を突っ込む気はありませんっ!」

「……嘘だろ、母さん。この前は味方してくれただろ!?」

「それはそれ! これはこれよ!」

 絶望しているのか、失望しているのか。

 この世の終わりみたいな表情になったお兄ちゃんに、少しばかり情が湧く。

 けど私もこの後の用事があった為、罪悪感を抱きながらもお兄ちゃんの手を振り払った。

「ごめんねお兄ちゃん! 行ってきますっ!」

「あっ、おい結衣っ……!」

 強引に玄関の扉を開けて、外に出てからバタンと閉める。

 本当ごめんね、お兄ちゃん……。でも、あそこまで引き止められても困るよ。

 なんて思いながら、少し駆け足である場所へと向かう。

 事前に紗代ちゃんからもらっていた住所まで行き、目的地前で止まる。

 ここ、で合ってるよね……?

 私が足を止めたのは、この辺りじゃ有名な美容室。

 おしゃれな外装で、一度も来た事もない事が相まって完全に緊張してしまった。