極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「まさか……この前のあの、腹黒男か?」

「……う、うん。多分……。」

 腹黒男、という言葉の意味は分からないけど……多分、お兄ちゃんが考えている人物は秦斗君だろう。

 この前って言ってしまえば、数日前の秦斗君とお兄ちゃんが初めて会った時だ。

 だからきっと、間違ってはないはず……だけど。

「行かないでくれ、結衣! あの男は信用ならん! つーか男と二人とか、可愛い俺の妹に何誘ってやがんだあの面倒男!」

「お兄ちゃん、早く行かなきゃ間に合わなくなっちゃう……。」

「間に合わなくていい! マジで、あの男のところに行かないでくれ!」

「え、えぇ……。」

 ぎゅっと強い力で、私を引き留めてくる。

 それは困るよ……お兄ちゃん。

 余裕があると言えど、秦斗君を待たせてしまうわけにはいかない。

 それに秦斗君と会う前に、行かなきゃいけないところもあるし……。

 お願いをしてみても、頑としてお兄ちゃんは私の腕を離そうとしない。

 うーん、どうすればいいんだろう……。

 そこまで考えて、ほとんどお手上げ状態になった時。