極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 まだ完全には……信用しきっていないから。

 こんなの秦斗君に失礼なのは、重々承知。

 ……それでも私は、信用しきる事ができなかった。

「んじゃ早速、今日の放課後ショッピング行くよー!」

「わ、分かった!」

 大きな声で高らかと宣言する紗代ちゃんに、今の気持ちを悟られないように元気に返事をする。

 今回のお出かけで秦斗君を信用しきる事ができれば……なんて甘い考えを、ぼんやり抱きながら。



 ……緊張する日っていうのは、思っているよりも早く来てしまうようで。

 もう今日が土曜日。言い換えれば、秦斗君と出かける当日。

 この数日間、私はずっとそわそわと落ち着かないでいた。

 何しろ、男の子と出かける事になっている。それだけでも私には、緊張しまくってどうにかなりそうな出来事だった。

 今日の事をお母さんに話せば、「あらあら~、結衣にもついに春が来たのね~。」なんて言っていた。

 春……この前終わったよ、もう秋だよお母さん。

 正直のところそう言いたくなったけど、きっとそういう意味合いじゃない気がする。